事例詳細(公表)

1.農家の概要

標題番号  
ブロック名  
経営類型  
経営形態  
成長段階/成長要因  
主要収入部門  
規模階層  
農業収入階層  
推薦理由 当組合は、米への依存度が高く園芸の生産額が少ない地域において、園芸品目の販売拡大と農産加工品販売に力を入れ、平成19年に販売額1億円を達成した。地元食品メーカーと連携して加工品開発に取り組み、販売商品の充実を図っている。直売所を核とした農業の6次産業化を追求しており、地域に与える波及効果も大きい。
特長 ポイントは、町が直売所を建設。手数料10パーセントと低く抑えて、生産者の直売所への出荷を誘引することで、成功した事例。農産物経営組合の運営は、組合員販売手数料と委託販売手数料等で運営している。直売のメリットを最大限農業者へ還元するために、組合員販売手数料を10%に抑えている。

2.所得向上方策

A.規模拡大等の経営展開・変遷について

  • 平成9年から定期市を開催してきたが、家庭菜園主体の農業者が多く「毎日、販売する農産物があるだろうか?」が最大の悩みであった。その解決にむけ野菜栽培研修、商品づくり、直売所運営のための研修会を積極的に行うとともに、農家代表・農協・町・普及センターによる常設直売所設置に係る検討会を行い農産物直売所の開設の準備を行ってきた。
  • 平成10年に町では、地域活性化と農業者の元気を掘り起こす起爆剤にしたいということで、平成10年に研究機関に調査を委託した。その結果「直売所の経営コンセプト」「店舗の立地場所」「店舗レイアウト」「目標販売額」等が提案された。それらをもとに直売所整備計画を検討した。とくに 町外にも目を向けた販売が必要であること、地域の特徴のある農産物の販売と品揃えの充実が大きな課題として浮かび上がった。
  • 平成11年3月地元農業者からの希望をうけ、町臨時議会で直売所建設の予算が承認され、4月に当組合が設立された。地域活性化の起爆剤としての期待をうけ、参加農業者の拡大、商品開発などを重点課題に準備活動を行ってきた。
  • 平成11年4月に定期市「ふれあい市場」参加農業者など広く町内の農業者へよびかけ、55名で設立された。地域に愛される直売所とするために名称も広く呼びかけ、○○と愛称も決定して、平成12年4月に直売所がオープンした。
  • 平成13年度にホームページを開設した。
  • 平成15年度には、水田の畑地化振興の一環として、町内の中核的農家を中心に「赤ねぎ生産組合」が設立される。「地域赤ねぎ」が直売所の目玉商品から町の特産品へと発展してきた。町の産業賞を受賞した。

当組合では、生産・加工・販売の3部制をとっており、各部長を置いて体制整備を図っている。生産部では、野菜の栽培講習会・先進技術の視察・新たな栽培品目への取り組みを行い、商品の品質向上と品目拡大を進めている。加工部では、加工研修会や各種イベント(お盆市・市農林水産祭等)での加工品提供を行い、加工品目の拡大を進めている。販売部では、店内の商品や表示等のチェック・接客マナー研修・各種イベントへの協力を行い、販売促進を図っている。

B.経営立地(自然的・社会的)条件が経営に影響することについて

平野部と丘陵地帯の中山間部からなる中間農業地域であり、市町村合併前の平成13年度に町の高齢農業者活動計画が樹立されており、高齢農業者は集落営農をはじめ園芸振興やグリーンツーリズム関連活動に大きな役割を果たしており、当組合の構成員も、高齢者が半数以上を占めている。

C.労働条件の改善方策について

平成12年度に、直売所の目玉商品として「赤ねぎ」に着目。赤ねぎ栽培実践ほ場の設置による省力化栽培の実証を行った。当初、在来作物である「赤ねぎ」の栽培期間は14ヶ月もかかっていた。これでは、直売所に並べるまでに時間がかかりすぎるため、普及課の支援のもと、栽培期間短縮の実証を行った。具体的には、3~5月に共同育苗ハウスで育苗し、5月に定植、11月から収穫する栽培体系で、従来行っていた植え替えをしないことで栽培期間が9ヶ月に短縮され、大幅な省力化が図られた。さらに、植え替えをしないことで真っすぐな「ねぎ」となり、調理もしやすくなった。

D.土地・施設等の課題改善について

当初、在来作物である「赤ねぎ」の栽培期間は14ヶ月もかかっていた。これでは、直売所に並べるまでに時間がかかりすぎるため、普及課の支援のもと、栽培期間短縮の実証を行った。具体的には、3~5月に共同育苗ハウスで育苗し、5月に定植、11月から収穫する栽培体系で、従来行っていた植え替えをしないことで栽培期間が9ヶ月に短縮され、大幅な省力化が図られた。さらに、植え替えをしないことで真っすぐな「ねぎ」となり、調理もしやすくなった。

E.新技術導入、新規作目の導入などについて

直売所は安全安心が大きなセールスポイントである。防除履歴の記帳を推進しており、農薬適正使用推進員を中心に防除履歴の点検と記帳の徹底を図っている。抜き打ちで履歴の提出を求める場合もある。さらに、農産物の出荷前分析も行っている。
平成15年には、市場出荷のために赤ねぎ生産組合が設立。都市圏中央卸売市場への出荷がスタートした。県の水田畑地化事業機械整備事業等により、播種機・定植機等が導入され、機械化一貫体系を確立し、ほ場の団地化・作業の共同化で作業効率が図られた。

F.経営管理方法、組織体系の見直し、独自の市場開拓などの取り組みについて

  • 平成14年に直売組合員の栽培面積が30aに拡大し、1戸の農家が、直売所だけで販売していた赤ねぎの市場出荷を目指して、10aの作付を開始した。
  • 平成15年度に直売所経営組合が従業員を雇用し、直売所運営の自立に向けて大きく踏み出した。地域住民が参加するフリーマーケットも実施するなど、販売額が9千万円を超える。
  • 平成16年度に安全安心な農産物生産の取り組みとして、防除履歴の記帳と出荷前の農薬分析を行う。
  • 地域に常設直売所が25ケ所ある。地域の直売組織が一体になりながら地域農産物のPR活動を行っている。特に10月の統一イベントでは、秋の農産物のPRを行い、今年度は飲食店との連携をしながら消費者へおいしさをアピールする。
  • 商品陳列は、1組合員1コンテナの方式である。他の直売所では、品目ごとに陳列する平台方式もあるが、当直売所では生産者の名前で品物を選ぶお客が多いため、この方式を続けている。また、コンテナ内の商品の減り方を他のコンテナと比較して、競争意識が芽生えるという効果もある。コンテナの場所によって、売れやすい所とそうでない所があるため、毎月抽選でコンテナの場所を入れ替えている。
  • 生産組合は首都圏、直売所は地元を中心に販売している。また、地元消費者は従来栽培の「曲がりね ぎ」への愛着も強く、直売所の一番の人気商品になっている。直売所では、従来の栽培方法の曲がりねぎも販売するなど、赤ねぎ生産組合と一体となったPRにつとめている。赤ねぎの販売額は、平成19年において対16年の1.89倍の実績を上げている。

G.技術獲得のための機関及び人的ネットワークについて

生産組合は首都圏、直売所は地元を中心に販売している。また、地元消費者は従来栽培の「曲がりねぎ」への愛着も強く、直売所の一番の人気商品になっている。

  • 平成16年に、付加価値作りのために赤ねぎ生産組合が、県園芸産地拡大強化支援事業を活用し「赤ねぎ甘酢漬」「赤ねぎ味噌」の開発・販売に取り組む。商工会が事務局となり、「赤ねぎうどん」「赤ねぎせんべい」を完成し、加工品の販売を開始した。
  • 平成17年には、栽培面積の拡大に向け、不足気味の種子を確保するため、県園芸産地拡大強化支援事業を活用し原々種育種試験ほ(パイプハウス)を設置した。ゆうパックによる生食・加工品ギフトセットの販売を開始。地元大学農学部に、赤ねぎに含まれる有効成分の研究を委託して、高付加価値販売に結び付けた。
  • 平成18年に、地元食の親善大使であるプロのシェフの協力のもと、「赤ねぎロッソ(万能調味料)」を開発し販売を開始した。地域の名を冠した赤ねぎの名称で特許庁の地域団体商標を取得した。

H.農業生産関連事業の取り組みと、展開方向について

  • 直売所の品揃えに不安があることと、販売手数料収入を確保するための「苦肉の策」として地元食品企業に呼びかけたものであったが、現在は58社(農家グループを含む)が委託販売業者になっている。直売組合でも農産物直売所としての特徴を損なわないように、取扱商品は、直売組合での内部審査を行いながら、産地にこだわった地域の特徴のある品揃えを行っている。地域では12社と連携しており、地元企業の販売額は約1千万円となり、地元経済にも貢献している。
  • 平成19年度には地域内で焼麩等の製造をしている㈱A食品が、自治体の事業を活用して「赤ねぎと焼麩をミックスしたスープ」を開発した。現在では、「赤ねぎうどん」、「赤ねぎせんべい」、「赤ねぎスープ」を自社商品とあわせて販売展開している。また 「赤ねぎ味噌」「酢漬け」は調味料を県農工連が、製造は隣接地域の農産加工グループと連携するなど地域内連携を図りながら製造販売している。現在 加工品の年間販売額は150万円であるが、赤ねぎを中心に農工商が連携する活動が展開されている。
  • 直売所の販売額を部門別に見ると、最も売れているのは加工品である。加工品は、平成14年度に約15百万円だったものが、19年度には約29百万円と倍増しており、全体の販売額の約3割を占めている。加工品の中でも販売額ベスト2は「笹巻き」と「しそ巻き」で、どちらも年間3百万円以上売れている。このような加工品は地域食文化をベースに高齢者が培ってきた技術をもとに作られたものが多い。量目や包装形態などを工夫しながら売れる商品づくりの研鑽を重ねている。
  • 20年度に新しいPOSシステムと商品表示ラベルプリンターが導入される予定である。当組合は、加工品開発・販売・都市消費者の受け入れ・食育活動等に取り組み、まさに6次産業へと発展してきている。今後は、1億円達成におごることなく、①個人別売上10%アップ②ワンステップアップで信頼される店作り、を重点目標に掲げ、消費者ニーズの把握に努め、高齢者と女性のパワーをフルに活かして、地域に貢献しつつ、軽食コーナー等の新たな事業展開も検討しているところである。
  • 赤ねぎは、主なる販売期間が10月から12月と短く、また栽培面積の拡大に伴って、太さや長さ等で規格外になる赤ねぎの活用が課題となった。赤ねぎ生産組合では、地域で味噌を加工している県農工連の協力を得て、「赤ねぎ味噌」と「赤ねぎ甘酢漬」を開発した。一方、地域内の商工会は注目を集めている赤ねぎを材料に「新たな商品」に結び付けようと、「赤ねぎうどん」と「赤ねぎせんべい」を開発した。

I.社会貢献等について

  • 平成13年から、地域内の小中学校あわせて3校に向け学校給食へ食材を供給している。組織内に学校給食部会を設け、学校と連携しながら年間供給計画をもとに、地域で育つ子供たちのために、安全で安心できる農産物を提供している。
  • 平成13年頃から赤ねぎに加えて山菜・からどり・笹巻き・かたもち・しそ巻等、地域に根ざした商品が人気になった。また、町の高齢者活動計画の中で、直売所が高齢者活動に果たす役割として、生涯現役での農業生産・農産加工・食文化の伝承が位置付けられた。
  • 地域で昭和57年から田植え・稲刈りを中心とする農業体験観光事業を行ってきたが、平成15年からは、都内の私立中学校2年生(約200名)の農村生活体験(ファームステイ)に取り組んでいる。受け入れ家庭の取りまとめや体験教室の企画を行うために実行委員会を設立し、当組合は実行委員会の主軸として重要な役割を担っている。特に、直売所での販売体験、しそ巻き・豆腐加工等のふるさと体験教室の講師、お土産の注文等は当組合の役割となっている。また、個別のファームステイ受け入れ農家としても、組合員の多くが受け入れを行っており、この6年間で約1,200名もの生徒を受け入れた。受け入れ家庭には生徒一人当たり16,500円が支払われるため、6年間で約2千万円の地域経済効果となっている。さらにファームステイした生徒の家庭に、ふるさとの味として特別栽培米・赤ねぎ・えだまめ・夏野菜セット・赤ねぎ加工品等ギフトセットのパンフレットを送り、めんたま畑が窓口となって注文を取りまとめている。
  • 平成16年には、フリーマーケットの売上金を、地元中学陸上部の全国大会出場や新潟中越地震の被害者に寄付し、地域への貢献活動も行う。
  • 平成18年には、地域農業の振興・特産品の振興・都市との交流・食育活動に取り組んで来たこと等が高く評価され、農山漁村いきいきシニア活動表彰事業で農林水産省経営局長賞を受賞。組合員22名が参加する一大行事「ハワイ旅行」実施。発展のパワーを充電。
  • 平成20年からは、隣接する保育園(園児約100名)の食育活動として、週3日、園児が交代で地元の野菜を買う体験を行い、その野菜を「保育園で調理して給食に出す」という「地元食材への愛着」と「食の楽しみを体験する」というユニークな取り組みがスタートしている。当地域では、首都圏中学生の農村生活体験研修を実施しており、その中で「ふるさと教室」を開催している。直売組合員は年代的にバラエティがあり、多様な人材が多いため、ふるさと教室の「しそ巻き体験」等の講師をつとめている。農家生活体験(3泊4日)を組合員の多くが受け入れている。生徒達は、自家生産物を豊富に活かした食事づくり体験の中で、食の重要性と感謝の心を再確認している。また、受け入れ農家は、子供たちの「食に関する様々な感動」を新鮮に受け止め、生産者としての誇りと自信を再認識している。

J.特筆事項

特になし

3.実績に関する経営指標について